「和歌山の実家で暮らしていた母が亡くなった。大阪に出ている自分と、地元に残る弟とで手続きを進めたいけれど、司法書士・税理士・弁護士のどこへ行けばよいのか分からない」——県外に出たお子さんから、こうしたご相談をいただきます。
相続にかかわる専門家は、それぞれ法律で受け持つ仕事が決まっています。この記事では、資格ごとの業務の範囲と、状況に応じた相談先の選び方を順に見ていきます。
ご家族だけで進めることもできますが
相続人の人数が少なく、遺産の中身も込み入っていなければ、専門家に頼まずにご家族で手続きを済ませることもできます。もっとも、戸籍集めや書類づくり、期限が決まった手続きで行き詰まり、途中から専門家に任せる方もいらっしゃいます。遠方にお住まいだと、平日に和歌山の役所へ出向くだけでもひと苦労です。

専門家ごとに、法律で決まっている仕事
司法書士にできること
司法書士法3条1項の1号から5号までが、司法書士の独占業務(その資格を持つ人だけが、仕事として行える業務)を定めています。そのうえで、司法書士ではない人がこれらを業として(仕事として、くり返し行うこと。くり返すつもりなら1回目から当たる)行うことは、同法73条1項で禁じられています。

- 登記(不動産の持ち主や会社の情報などを、法務局の公の記録に載せること)や供託(支払いや担保などのために、お金などを法務局に預ける制度)の手続を、本人に代わって行うこと。相続による不動産の名義の変更(相続登記)に限らず、会社の登記なども対象です
- 法務局(不動産の名義や会社の情報の記録、遺言書の保管などを扱う国の役所)や地方法務局へ出す書類をつくること
- 登記・供託について、審査請求(法務局などの役所が下した判断に不服があるとき、見直しを求める手続き)の手続を本人に代わって行うこと
- 裁判所や検察庁へ出す書類をつくること。家庭裁判所に相続放棄(家庭裁判所に申し出て、財産も借金も一切受け継がないこと)を申し出るための申述書や、遺産分割調停(家庭裁判所で調停委員を交え、遺産の分け方を話し合う手続き)を申し立てるための申立書も、ここに含まれます
- 1〜4の事務について、相談に応じること
つまり相続では、不動産の名義を変える相続登記にとどまらず、家庭裁判所へ提出する書類の作成も、司法書士が受け持つ仕事だというのがポイントです。
また、法務大臣から認定を受けた司法書士(認定司法書士)であれば、簡易裁判所(請求額が140万円以下の争いなどを扱う、身近な裁判所)が扱う一部の民事事件(お金の貸し借りなど、個人や会社どうしの権利をめぐる事件)で、訴訟(裁判所に判断を求めて争いを解決する、裁判の手続き)や民事調停(裁判官と調停委員を交えて話し合い、合意で解決をめざす手続き)などの代理ができます。さらに、それと同じ範囲の民事の争いについては、裁判外の和解(裁判をせずに、当事者どうしが譲り合って争いをやめる合意)や仲裁(当事者が選んだ第三者の判断に従うと決めて、争いを解決する手続き)の手続の代理なども行えます。根拠は同法3条1項6号と7号で、対象は、原則として争いの対象をお金に換算して140万円以下のものです。
とはいえ、相続放棄や遺産分割調停は、家事事件(相続や家族の問題について、家庭裁判所が扱う事件)にあたります。認定司法書士でも、司法書士の資格にもとづいて、こうした手続の代理人(本人に代わって、契約や手続きをする権限を持つ人)を務めることはできません。その一方で、家庭裁判所に出すこれらの書類をつくることは、司法書士の業務に含まれます。

税理士にできること
税理士の独占業務にあたるのは、税理士法2条1項に定められた次の3つです(同法52条)。
- 税務代理(税務署への申告や税務調査での主張などを、本人に代わって行うこと)
- 税務書類の作成(申告書など、税務署や市町村などに出す税の書類を、本人に代わって作ること)
- 税務相談(個別の事情に沿って、税額などの計算について相談に応じること)
ですから、相続税の申告書をつくって税務署に出すことはもちろん、ご事情に即して相続税の額を計算し、その結果をもとに助言することも「税務相談」にあたります。これは原則として、税理士や税理士法人など、税理士法で認められた人が行う仕事です。準確定申告(亡くなった人のその年の所得税を、相続人が代わりに申告すること)や、相続で取得した不動産を売ったときの譲渡所得(土地や建物などを売って得た利益)の申告も、税理士が受け持つ分野です。

当法人は、相続税額の試算や、個別の税務のご相談をお引き受けできません。税額が問題になりそうなときは、税理士をご紹介しています。
弁護士にできること
弁護士法72条は、弁護士・弁護士法人以外の者が、報酬を得る目的で、法律事件(権利や義務について、争いや疑問がある法律上の案件)について代理や和解などを業として行うことを禁じています。遺産分割(遺産を相続人の間で分け、誰が何を受け継ぐかを決めること)をめぐって相続人の一方の代理人となり、交渉したり、和解の条件をすり合わせたりすることは、司法書士には認められていません。 そのようなときは、弁護士にご依頼ください。

あわせて、弁護士は税理士となる資格を持っています。税理士法51条の定めにより、所属する弁護士会を経由して国税局長へ通知をすると、その国税局(税務署を指導・監督する、地域ごとの国税の役所)の受け持ち地域の中で、税理士の業務を行えます。
行政書士にできること
行政書士法1条の3により、行政書士は、官公署(国や都道府県・市町村などの役所)に出す書類や、権利義務または事実証明に関する書類(契約書など権利や義務に関わる書類と、ある事実を証明するための書類)をつくることを仕事としています。
相続の場面で代表的なのは、相続人どうしで話がまとまった内容をもとにした遺産分割協議書(相続人全員で決めた遺産の分け方を書いた書面)や、相続関係説明図(故人と相続人の関係を、家系図の形で示した書類)の作成です。そのほか、戸籍謄本(戸籍に載っている全員の記載を写した証明書)などの取り寄せ、自動車の名義変更、相続した農地についての農業委員会(市町村に置かれ、農地の売買や、農地を宅地などに変えることを審査する機関)への届出もあります。和歌山の実家に田畑が残っているときは、この届出も視野に入ります。
もっとも、同法1条の3第2項は、ほかの法律が制限している業務を行政書士は行えない、と定めています。登記の申請や裁判所に出す書類の作成(司法書士の分野)、相続税の申告書などの税務書類の作成(税理士の分野)、争いのある案件の代理(弁護士の分野)がこれにあたり、行政書士の業務には含まれません。

※令和7年法律第65号による行政書士法の改正で、2026年1月1日から条の番号が繰り下がりました。以前の1条の2が、現在の1条の3です。
相談先は「必要な手続き」から選ぶ
どの資格かで考えるより、どんな手続きが要るのかから逆にたどると整理しやすくなります。
| いまの状況 | まず相談したい専門家 |
|---|---|
| 和歌山の実家など、相続した不動産の名義を変えたい | 司法書士 |
| 相続放棄などで、家庭裁判所に出す書類をつくりたい | 司法書士または弁護士 |
| 相続税の申告や、個別の税務の判断が要る | 税理士 |
| 遺産分割で、相続人どうしの交渉を代わりにしてほしい | 弁護士 |
| 話し合いはまとまり、協議書づくりや役所の手続きが中心 | 行政書士も選べます |
| いくつもの分野にまたがり、何が必要か見当がつかない | 各専門家と連携している窓口 |
当法人は、相続登記をはじめとする司法書士の業務を軸に、手続き全体の見取り図をつくります。そのうえで、必要に応じて税理士・弁護士・行政書士などへおつなぎしています。
手続きをまとめて任せる「遺産整理業務」
人が亡くなったあとの手続き、たとえば不動産の名義変更、銀行の預貯金の解約・払い戻し、証券会社にある株などを相続人の口座へ移す手続きなどを、まとめて引き受ける業務があります。一般に「遺産整理業務」や「遺産承継業務」と呼ばれるものです。

この業務は、司法書士法3条1項1号〜5号に並ぶ独占業務そのものではありません。お客様と結ぶ委任契約(手続きや事務を、相手に任せて代わりに行ってもらう契約)にもとづいて行う、財産管理業務(依頼を受けて、他人の財産を管理したり、解約・売却などをしたりする仕事)です。司法書士法人の場合、その根拠は、司法書士法29条1項1号にもとづいて定められた司法書士法施行規則(司法書士の業務などについて、細かいルールを定めた法務省の規則)の31条1号にあります。そこに挙げられているのは、管財人(依頼を受けたり裁判所に選ばれたりして、他人の財産を管理したり、売却などをしたりする立場の人)や管理人といった立場に就き、他人の財産を管理・処分(財産を売る・あげる・壊すなど、財産の形や持ち主を変えること)する業務です。
なお、遺産整理業務を行えるのは司法書士だけではありません。弁護士や行政書士、信託銀行なども同じようなサービスを提供しています(どこまで扱えるかは、資格や法令、サービスの内容によって違います)。また当法人では、相続人の間で争いがある場合の交渉(弁護士法72条)と、相続税の申告や税務相談(税理士法52条)はお受けできません。
ARIAグループの相談体制(窓口はひとつです)
当グループは、司法書士法人が中心となり、グループ会社の株式会社ARIA Partners(不動産の売買や仲介を免許にもとづいて行う宅地建物取引業者)や税理士と手を組んでいます。相続の手続きに加え、不動産の売却や活用、税務のことまで、窓口ひとつでご案内します。相続人どうしの争いがあり、交渉や紛争への対応が必要なときは、提携弁護士をご紹介します。
最初に司法書士が全体を見渡し、必要な専門家へおつなぎしますので、初めてのご相談から窓口ひとつで進めていただけます。ただ、登記は司法書士法人、不動産の売買・仲介は株式会社ARIA Partners、税務は税理士が担当し、それぞれ別の事業者です。誰がどの部分を受け持ち、費用がどうかかるのかを、はじめにはっきりとご説明します。
相談の前によく聞かれること
Q. 最初の相談先は、どこを選べばよいですか?
A. 和歌山の実家など不動産があるときや、相続登記も含めて何が必要かを整理したいときは、司法書士に相談するのも一つの方法です。当法人にご相談いただいた場合も、お話をうかがったうえで、税理士・弁護士など別の専門家が必要であればおつなぎします。
Q. 相続税がかかるかどうか、判断してもらえますか?
A. 一人ひとりの税額の計算や、課税されるかどうかの判断は、税理士の仕事です。当法人ではお答えできないため、税理士へおつなぎします。
Q. 地元に残った兄弟と、遺産のことで意見が合いません。
A. 争いの代理交渉は、弁護士が受け持ちます。提携している弁護士をご紹介します。
まとめ・ご相談
- 和歌山の実家の相続を、誰に頼めばよいか分からない
- 相続税がかかりそうか、話し合いがこじれそうか、見当がつかない
- 専門家をいくつも回って相談する手間を省きたい
「どこに頼むか決まっていなくても大丈夫です。まずは交通整理のつもりでお声がけください。」 和歌山オフィスはJR和歌山駅東口から徒歩13分(駐車場1台分)です。お仕事で大阪に出られることが多い方は、大阪オフィス(大阪メトロ谷町線・都島駅4番出口から徒歩1分)でも同じ内容をお受けしています。ご都合のよい拠点をお選びください。
ARIAグループがいちばん大事にしているのは、「その先」です。 実家の名義をどうするか、売るのか残すのか、税金や兄弟での話し合いにいつ備えるか。最初に誰へ何を頼むかで、その後の進み方は変わってきます。いまの手続きだけで判断せず、何年か先にご家族が困らないよう、先々のことまで見据えてご提案します。
ARIAグループには、司法書士・行政書士・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーがおります。法律・登記・不動産・保険・行政への届出まで、窓口ひとつでご相談いただけます。 実際の手続きは、司法書士法人ARIAグループ(登記・書類作成)、ARIA行政書士事務所(許認可・届出)、株式会社ARIA Partners(不動産の売買・仲介)がそれぞれ担当し、ご契約と費用は分けてご案内します。 相続税などの税務は税理士、紛争対応は提携弁護士がお受けします(いずれも当法人の司法書士業務とは別個の契約です)。
初回のご相談は無料です。 ご来所による相談のほか、オンライン面談にも対応しています。
※この記事は、相続にかかわる専門家の業務を一般的に解説したものです(2026年10月時点)。個別の税務のご相談や、相続税の申告・税額の計算は税理士を、争いのある事案の代理は提携弁護士を、不動産の売買・仲介はグループ会社の株式会社ARIA Partnersなどの宅地建物取引業者をご案内します。内容は執筆時点の法令にもとづくもので、結果をお約束するものではありません。税理士・弁護士・土地家屋調査士(土地の境界や建物を調査・測量し、土地や建物の形・広さなどを法務局の記録に載せる手続きを行う国家資格者)・宅地建物取引業者にご依頼いただく場合は、各専門家と個別にご契約いただきます。これらの専門家へのご依頼を、当法人が司法書士業務をお引き受けする条件とすることはありません。
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初回相談無料・駐車場1台・土日祝も対応(面談は予約制)。和歌山オフィス(和歌山市黒田)で、司法書士がお話を伺います。